下染屋神明社

所在地 東京都府中市白糸台3丁目10−1
稲城大橋で多摩川を渡って都側に入り、そのまま白糸台通りを北上し府中崖線を登っ先にある旧甲州街道との交差点角が参道入口で、道に沿った南向きの細長い参道の先に境内があります。

狛犬

奉献/建立 安政二年乙卯九月[1855年9月]
石工銘 矢ヶ崎村 矢ヶ崎定次郎
狛犬タイプ 尾流れ
均整の取れた典型的江戸尾流れです。通常台石の正面にある「奉献」の字が側面全面に彫られているのが印象的です。
奉納者の糟谷源兵衛は大國魂神社の狛犬も奉納している下染屋村の名主です。
また、石工銘にある矢ヶ崎村は、現在の調布市国領町7丁目付近です。
なお、奉納の翌月に安政江戸地震が起きています。

石燈籠

奉献/建立 文政十二己丑[1829年]
石工銘 古市場村 巳之吉
鳥居から境内に入ってすぐのところ左右に置かれています。細い竿部の上に分厚い傘を載せたダイナミックなフォルムです。また、台石の彫られた獅子も見事です。
奉納月銘は確認できませんでしたが、おそらく次の石鳥居と同じ九月と思われます。
巳之吉の活動期としては初期(創業期?)にあたること、拠点の古市場村(現川崎市幸区)からはかなり離れていることなど、いろいろと謎のある作です。

石鳥居

奉献/建立 文政十二歳次己丑秋九月[1829年9月]
石工銘 古市場村 巳之吉
細長い参道の途中に燈籠と同じ巳之吉作の鳥居が立っています。
願主の住所「浅草御蔵前」は現在の蔵前周辺、「下谷南大門町」は現在の上野南大門町で、ここ(府中)と江戸が甲州街道で繋がっていることを実感させますす。

常夜燈

奉献/建立 嘉永六年癸丑四月[1853年4月]
石工銘 登戸 吉澤藤三光信
旧甲州街道に面した敷地の南端に置かれています。台座に「村内安全」、竿部に「秋葉大権現」と書かれており、火袋部にも「秋葉山」の文字が見えます。
街道沿いに秋葉山と彫られた常夜燈が並んでいたようで[3]、この神明社への奉納物ではないようです。(となると、他の常夜燈を作った石工も気になります)