羽田神社

所在地 東京都大田区本羽田3丁目9−12
羽田は多摩川左岸の河口部にあり、江戸時代は漁業と、江戸への舟運輸送拠点として栄えました。明治になって神仏分離により神社が独立し、他の神社との合祀や富士塚の建設により、地元から多くの石造物が奉納されるようになったようです。
訪問日 2023年1月,2025年1月,2026年4月

狛犬

奉献/建立 明治十年六月[1877年6月]
石工銘 不明
狛犬タイプ 尾流れ
台座に「文政十一年十月」と「明治十年六月再補」の2つの奉納年銘があります。狛犬の容姿・大きさから、明治に本体含めて再建されていると考えています。
迫力のある顔、流れながら広がる尾、脇の走り毛、台座の浮彫りなど、見事な名品で、石工銘が無いのが残念です。(石燈籠と共通点が多く、同じ石工=出川伊助の作の可能性が高いです)

狛犬

奉献/建立 (昭和)九年[1934年]
石工銘 鈴木喜太郎
狛犬タイプ 尾流れ(左:珠,右:子)
境内社の一つである日枝神社の社前に置かれています。大胆な巻き尾のデザインが目を引く狛犬ですが、何カ所か破損・補修されているようです。台座の奉納年銘も年号部分が見えなくなっていますが、鈴木喜太郎は羽田町の石工で、昭和三年に殿町水神社の石鳥居を手がけていることから、銘の年号は昭和と推定しています。
日枝神社は昭和三十六年に羽田神社に合祀されましたが、その記念碑も鈴木石材店[4]が手掛けています。

狛犬

奉献/建立 不明
石工銘 不明
狛犬タイプ 尾流れ(左:珠,右:子)
拝殿の左側社務所の通路を抜けた先に羽田富士と呼ばれる富士塚があります。明治元年に羽田の富士講により築かれたもので、塚の一部には富士山の溶岩が用いられています[5]。その頂上祠の前左右に狛犬が置かれています。周囲を多数の富士講碑が取り囲み、信仰を集めていたことが伺えます。

征清従軍旌功之碑

奉献/建立 明治三十年六月[1897年6月]
石工銘 當所 田川庄次郎
「旌功」は、功績を褒め称えることを意味するようです。碑の上部にある文字は「忠誠」でしょうか。
背面上部に「明治廿七八年陸海出兵員」とあり、その下に多数の氏名が列記されています。
「幕末とか明治維新とかの史跡など[2]」に掲載されている写真を見ると、碑の右側面に奉納年銘があったようです(見落としました)。

八雲神社鳥居寄附碑

奉献/建立 明治三十七年第六月[1904年6月]
石工銘 當所 田川庄次郎
上部に「八雲神社」とあり、右端に「神明形御影石鳥居寄附連名表」あることから、鳥居建設にあたって寄附を行った芳名録碑のようです。
八雲神社は羽田神社の旧称で、明治四十年に改称されています。

日枝神社碑

奉献/建立 不明
石工銘 鈴木喜太郎
上部に「日枝神社」とあり、右端に「神明形花崗石鳥居寄附芳名表」あることから、「八雲神社碑」と同様に鳥居建設にあたって寄附を行った芳名録碑のようです。
日枝神社は末社の一つで、拝殿の右手に鎮座していますが、鳥居は再建されているようです。
背面に回り込むことができないため、奉納年は不明です(石工名から昭和前半と思われます)。

石水盤

奉献/建立 明治卄七午年七月[1894年7月]
石工銘 當𫝂 田川庄次郎
茶舩若者中によって奉納された水盤です(ウィキペディア[3]によれば、多摩川下流から江戸までの海上輸送を茶船が担っていたようです)。
また、説明板によれば石水盤に牛が置かれているのは、羽田神社の起こりが牛頭天王を祀ったことによるそうです。
「𫝂」は「所」の異体字です。

石燈籠

奉献/建立 明治十年六月[1877年6月]
石工銘 當𫝂 出川伊助
神社入口鳥居の前、左右に置かれています。太く厚い傘と、やや小さめな猫足が微妙なバランスを生んでいます。
台石の龍の浮彫が見事で、狛犬の浮彫と共通する技を感じます。奉納年も同じことから、狛犬の作者も出川伊助の可能性があると思っています。

幟立て

奉献/建立 昭和十年三月[1935年3月]
石工銘 石春
神社入口に置かれている幟立てです。正面に「皇太子殿下御降誕記念」とあり、背面に「帝國在郷軍人會/蒲田區青年團」の名が記されています。

門柱燈籠

奉献/建立 昭和十四年六月[1939年6月]
石工銘 石治 田川石材店/石喜 鈴木石材店
神社入口門柱を兼ねた燈籠です(たぶん)。施工者として2つの石材店が列記されていますが、両社とも羽田を拠点とした石工が開いたものです。

社号標

奉献/建立 昭和九年六月[1934年6月]
石工銘 田川治郎吉/鈴木喜太郎
神社入口右側に立てられている社号標です。石工銘はありませんでしたが、奉納者として田川治郎吉と鈴木喜太郎の名が記されているため、石工として掲載しています(並んで記されている「中山福太郎」は、六郷神社の氏子総代を務めた人物のようです[6])。